青春の一冊「嵐が丘」とBronte Country
Visit Bronte Country, Haworth, Keighley, West Yorkshire, UK
嵐が丘...それは青春の甘い香りであった。ヒースクリフとキャサリンの苦しく切ない愛の物語であり、あの世とこの世の境を彷徨い、断ち切れぬ想いを抱いてなお生きる男の暗い物語でもある...と記憶しているが、正直その物語の内容はよく覚えていない。ただ、青年期の若者の心の琴線に触れるものがあることは確かである。
高校生の頃に読み、「物語の主人公で、同情心と敵愾心の両方を感じた主人公はこのヒースクリフが最初である...」と日記に書いたのを覚えている。そして、抒情豊かに描かれたヒースの丘を駆けるヒースクリフとキャサリンの姿がいまも瞼に焼き付いている。映画を見たことはない。30数年前に読んだ本がこれほど印象深く残るのは、やはりイギリスの古典文学を代表する作品に値するからであろう。そう思うのは私だけではないようで、イギリスを旅する機会にブロンテ姉妹の作品の舞台になった村を訪ねる日本人が多いそうである。
「嵐が丘」を書いたエミリー・ブロンテ、「ジェーンエア」を書いた姉のシャーロット・ブロンテが暮らし、そして短い一生を終えた土地、ブロンテ・カウントリの歴史案内をみると、ヨークシャー州の観光名所で日本語の案内があるのはHaworth Village(ブロンテ姉妹が暮らした村)だけだそうである。
この土地を訪れ、ヒースの丘を歩き、19世紀半ばに書かれた愛の物語に思いを馳せたいと思ってきたが、いまだにその願いはかなえられていない。ICQで知り合った人が新年にイギリス旅行をするというのを知り、またこの「嵐が丘」に気を引かれ、インターネットでその地理的位置と歴史や観光スポットを調べながら、ブログしているというわけである。
ある晩、本棚を見てふと手にした「嵐が丘」...中央公論社出版の当時としては豪華な装丁の赤い表紙の本である。月一回配本の「世界の文学」シリーズの一冊で、この全集を購読したいがためにアルバイトに精出したのであった。一度読んだ「嵐が丘」をまた読み出したら止まらなくなり、最後まで読み返してしまった。春にはまだ早い寒い夜であった。窓の外を見ると雪が降っていた。少し仮眠して新雪を踏んで出かけた。三月三日、大学受験の日であった。大事な受験日の前夜であることを忘れさせるほどの感動と興奮を与える本である。
1801. - I have just returned from a visit to my landlord - the
solitary neighbour that I shall be troubled with. This is
certainly a beautiful country! In all England, I do not believe
that I could have fixed on a situation so completely removed from
the stir of society. A perfect misanthropist's heaven: and Mr.
Heathcliff and I are such a suitable pair to divide the desolation
between us. A capital fellow! He little imagined how my heart
warmed towards him when I beheld his black eyes withdraw so
suspiciously under their brows, as I rode up, and when his fingers
sheltered themselves, with a jealous resolution, still further in
his waistcoat, as I announced my name.