永井荷風
永井荷風の小説はあまり読んでいない。知っている作品は、「あめりか物語」、「ふらんす物語」、そして「四畳半襖の下張り」くらいだ。最近知ったのが、「濹東綺譚」と「断腸亭日乗」だ。今年は永井荷風没後50年の節目のため、永井荷風を取り上げた番組や記事が多くなっているようだ。
永井荷風の小説はあまり読んでいない。知っている作品は、「あめりか物語」、「ふらんす物語」、そして「四畳半襖の下張り」くらいだ。最近知ったのが、「濹東綺譚」と「断腸亭日乗」だ。今年は永井荷風没後50年の節目のため、永井荷風を取り上げた番組や記事が多くなっているようだ。
大地主の6男に生まれた太宰(1909年生まれ)は両親の愛情に恵まれなかった。そんな心の空白を埋めたのが文学だった。生家の文庫蔵で文学にのめりこんだ。少年、太宰は物語の世界に浸った。中でも熱中したのは、当時人気だった芥川龍之介だった。学生時代に華々しくデビューした芥川は、社会や人間が抱える悪や偽善を暴き出し、若者の支持を集めていた。
太宰は必死に芥川を模倣する。16歳のときに出した同人誌「蜃気楼」、そのタイトルは芥川の小説から取ったもの。昭和5年21才の太宰は、芥川を追うように東京帝国大学に入学。学生作家としてのデビューを目指す。
都市伝説の一つに「メラビアンの法則」がある。情報伝達手段としての視覚、聴覚、言語(言葉)それぞれのインパクトの比率が、55−38−7であるという実験結果である。アメリカの心理学者Albert Mehrabianが報告した。Vision(Visual), Voice(Vocal), Verbalの頭文字をとって「3Vの法則」という人もいる。巷では、「人は見た目が9割」という本の影響もあって、いやそれ以前から、日本のビジネス界では誤解されて伝わっている。
わたしは、この詩人のことはほとんど知らなかった。29歳で早世したキリスト教信者であったということすら知らなかった。先日、ネットでの友人が教えてくれた、八木重吉の詩集があるホームページを覗いて、一瞬のうちに、こころを揺すぶられた。
八木重吉 「秋の瞳」 序私は、友が無くては、耐へられぬのです。
しかし、私には、ありません。この貧しい詩を、
これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。
そして、私を、あなたの友にしてください。
私の目に最初にとびこんできた、この序を読んで、胸が熱くなる思いを抱いた。
「友が無くては、耐へられぬのです」と詩人はいう。キリスト教の隣人愛は言葉として知っている。隣人を、友を愛しなさいということだと思っていた。
しかし、人間は生まれながらにして愛を求めている孤独な魂なのだ。友なくして生きていけない存在なのだ。あぁ、これが第三の本能「群れる本能」なのだと、詩人は気づかせてくれる。友を求める人がいるから、友を愛しなさいといっているのだと思った。
そして、「貧しい詩」という詩人の謙虚さが切々と胸に迫る。読んでくれる人に捧げ、感謝するこころが伝わってくる。彼が捧げる詩を読みたくなる序である。
その期待は応えられる。まだ十数編しか読んでいないが、それだけで、こうして何かを私に書かせようとする静かな力がある。
「息をころせ、あかんぼが 空をみる」
「わたしは わたしは 白鳥となり・・・ おほぞらを かけり・・・」 「わたしは ひとりぼつちで描くのだ、 これは ひろい空 しづかな空・・・」
といううたが詩人のこころを表現する。
「鉛のなかを ちようちよが とんでゆく」
なんという表現なのだろう!テーマは重苦しさや苦しみ哀しみであるのに、それをたんたんと歌に詠み、読むものには重苦しさを微塵も感じさせない。
静謐な美しい自然の風景を思い描かせ、読むものに生きる希望と喜びを感じさせてくれる。
わたしの友人が、八木重吉の詩を好きなのがよくわかる気がした。わたしとは、受け取り方が違うだろうが、万人のこころに響く八木重吉の魂が、いまも生きているのだろう。
わたしも八木重吉の詩にふれ、自分の魂の声に耳を傾けてみたいと思う。
友人が、「苗字の分布」を教えてくれた。「平井」というのは比較的西日本に多いとのこと。確かにわたしは奈良県出身である。分布図をみると件数では大阪が一番多く、東京、神奈川、兵庫と続く。一方、「密度」、全苗字に閉める比率では、香川、富山、岡山、山梨、京都の順になっている。
Web2.0の特徴のひとつにAPIがあり、これを使ったMashupsが利用者側でできるようになった。Googleが先鞭を使えたことで有名ではあるが、Amazonも早くからAPIを提供している。AWS(Amazon Web Service)である。
AWSはAmazonの商品情報を取得したり、ショッピングカートにアイテムを追加したりするなど、幅広い機能・・・リアルタイムでの価格更新や在庫情報、商品イメージ、カスタマーレビュー、商品の説明、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のリスト、売り上げランキングなどを提供するプログラムである。
2000年に出版され、全米ベストセラーとなった。原題は 「Leadership and Self-Deception: Getting Out of the Box」(リーダーシップと自己欺瞞:箱から抜け出そう)である。
Self-Deception(自己欺瞞)は哲学用語であるが、これが組織や家族の中に巣くう病理現象だという。組織の生産性低下や家庭の不和の根本原因が、自己欺瞞すなわち自分の気持ちに対する裏切り、自己正当化である。それが正しい認識・判断を妨げ、人間関係を危ういものにする。
本書は、自己欺瞞がなぜ起きるのか、どうすれば解決できるのかを、優良企業の管理職が研修を受けるという場面設定をもとに説明している。
日本語版の中古本は6000円と高額(原書はベーパーバックで1000円)で、なかなか手に入らず幻の書とも言われた。最近復刊され、大和書房から『自分の小さな「箱」から脱出する方法』が出版されている。
風と共に去りぬ
アトランタと聞いて最初に思い浮かぶのが「風と共に去りぬ」である。作者がこの小説を執筆した家が、Margaret Mitchell House & Museumとしてアトランタの街中に残っている。いまさら説明するほどもなく有名な小説で、1936年に出版されると爆発的な人気を得て、聖書に次ぐベストセラーになり翌年にはピューリッツア賞を受賞している。映画は1939年初演で、空前の大ヒット作となる。これまでの全世界の観客動員数は約20億人と推定され歴代第一位だという。映画制作の背景やエピソードについては、「素晴らしき哉、クラシック映画!」さんが詳しく解説している。
主人公スカーレット・オハラ探しは"スカーレット・フィーバー"と呼ばれたほど全国で大々的に行われ、14歳以上の全てのハリウッド女優がスカーレット役に名乗りをあげる。キャサリン・ヘプバーン、ベティ・デイヴィス、ポーレット・ゴダード、ノーマ・シアラーらを含めて現役の女優121人が候補に上がり...(中略)...スカーレット役探しはハリウッドの女優だけでなく、無名の素人まで巻き込んだ文化的な盛り上がりを見せ、スカーレット役探しの費用だけで9万2,000ドルもかかり、総応募者数は1,400人、スクリーン・テストをした人数は90人、使用したフィルムはモノクロが4万2,000フィート、テクニカラーが1万3,000フィートにも及んだ。最終的にスカーレット役は、『嵐が丘』(39)を撮影中だった恋人のローレンス・オリビエを追ってイギリスからハリウッドにやって来た、アメリカでは無名のイギリス人女優ヴィヴィアン・リーが抜擢される。
地獄の門
Per me si va ne la citta dolente, per me si va ne l'etterno dolore, per me si va tra la perduta gente. Giustizia mosse il mio alto fattore; fecemi la divina podestate, la somma sapienza e'l primo amore. Dinanzi a me non fuor cose create se non etterne, e io etterno duro. Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate'
我を過ぐれば憂ひの都あり、
我を過ぐれば永遠の苦患あり、
我を過ぐれば滅亡の民あり
義は尊きわが造り主を動かし、
聖なる威力、比類なき智慧、
第一の愛我を造れり
永遠の物のほか物として我よりさきに
造られしはなし、しかしてわれ永遠に立つ、
汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ
(山川丙三郎訳より)
アメリカのMBAケーススタディのネタがいっぱい引用されている。経営者のベンチマークを検討する際の糸口を与えてくれます。ハイテク業界を中心としているので、他の業界では少し視点が違うかもしれませんが、成長の各局面でのとるべき戦略はまったく違う、環境の変化に応じて素早い戦略変更をしないと失速してしまうといったことを、いろんな事例を引用しながら例証し解説している。学ぶべきことが多くあります。経営幹部、経営コンサルタントの必読書ですね。
内田康夫の浅見光彦シリーズは愛読書のひとつである。最初の海外駐在から日本に戻ったとき、退屈な通勤電車の中で暇つぶしに読み始めた。瞬く間に「浅見光彦」のファンになった。店頭に並んでいた作品を全部読み終わると、過去の作品を求めて古本屋も探した。そして、数十冊くらい読んだ頃から、駅の売店に並んだ新刊の文庫を買って電車の中で読み始めて、「あれ?これ前に読んだな!?」なんて気づくことが何回かあった。それから蔵書リストをつくりはじめた。いまは書名一覧だけで、時間を見つけて文庫の書評、読後の感想などを書こうと少しはじめたが根気が続かない。
今日偶然に「浅見光彦シリーズが好評の内田康夫作品の紹介と感想」がメインのページを見つけた。感想だけでなく、全作品について「ミステリ考察」、「ヒロインたち」、「謎の言葉」などじつに幅広く丁寧に書かれている。このページの作者には脱帽し敬意を表したい。
昔読んだ本の中に「般若心経入門」がある。田舎生まれ育ちの私が大都会での生活に慣れず、鬱屈した日々から逃れるように山登りをしていた頃に買った記憶がある。子供時代に法要のたびに意味も分からないままにお坊さんや周りの人の声にあわせて唱えた「…色即是空。空即是色…」という有名なお経である。正しくは「般若波羅蜜多心経」というそうである。恥ずかしながら今もその内容の意味するところをよく知らない。
Amazonで調べたら、「般若心経入門―276文字が語る人生の知恵」、祥伝社黄金文庫、 松原 泰道 (著) という本があった。まさしくこの本である。20代の頃に買ったが正直いって内容がよくわからずに投げ出した。「松原 泰道」という著者の名前も知らなかったが、20世紀日本の碩学、生きる知恵を語る第一人者だということである。「諸行無常」、「生者必滅」、「因縁生起」、「諸法無我」…など仏教のこころを語る。
子供時代に祖父母に教わった「足るを知る」、アメリカで座右の銘のひとつであった「水五則」も、松原さんが禅から学ぶ人間の生き方として説いている。なんと私は無知であったのかと大いに反省している。この四半世紀のあいだ、「足るを知る」は森鴎外の「高瀬舟」のテーマである…と知ったかぶりで話してきた。「水五則」は、信州の山寺にある掛け軸に書いてある言葉だと、20年以上昔に見たTVドキュメンタリで知った記憶がある。それ以来の思い込みである。「知っている、分かっている、やっている」というのは傲慢さの証である…などと研修で話しているのが恥ずかしくなった。もっと謙虚にならなくてはとわが身を戒める。
台頭する若手作家たち...と題した3月7日放送のTV番組「クローズアップ現代」を見た。少し長いが放送記録から引用させてもらう。
「出版不況の中で、低迷して久しいと言われてきた文学の世界が、ここにきて10代・20代の若手作家によって活況を呈している。 去年史上最年少で芥川賞を受賞した金原ひとみ、綿谷りさに刺激され、多くの若者が「書き手」として文学の世界に参入しつつあるのだ。新人作家の登竜門と言われる文芸賞への応募は年々増え、今年は2千を超えた。その中から、白岩玄、山崎ナオコーラといった新たな才能も登場、出版社も「携帯メール大賞」などを新設し、若者の才能の発掘に躍起になっている。所謂古典文学からではなく、ゲームや漫画から育った若者がどんな小説を生み出していくのか、若者ブンガクの可能性を探る。」三年ほど前、久しぶりに日本の本屋さんに並ぶ新刊書をいくつか立ち読みして感じた違和感の原因を説明してくれた。「なんだか漢字が少ない...。カタカナが多い...。口語体、一人称で、文が短い...。擬態語・擬音語が多い...。どうでもいいような日常の話が多い...。かと思うと超常現象の話を主題にしている...。といった具合で、実際に新しい作家の小説を読んで、そういう違和感が強くなった。もちろん、それは私が感じる違和感であって、一般の読者にとっては何の違和感もないのだろう。逆に読みやすく、内容に関心があり共感を覚える読者がたくさんいるから売れているのである。アメリカのXジェネレーションやポップカルチャー世代が新しい文化を創ってきたのと似たような現象がまさしく今日本の社会に起こっているのであろう。番組ゲストの作家・高橋源一郎氏のコメントが大変的を得ており分かりやすかった。
「若手作家たちは、今日より明日は悪くなると感じながら育ってきた世代である。希望の見えない時代のサバイバル...それを新しい文学として提示している。」以下は番組の主な速記録である。大変興味深い。
象形文字には甲骨、ヒエログリフ、トンパ(東巴)の三つがあるという。甲骨文字とヒエログリフについてはその歴史的背景を含めてある程度知っていたが、トンパ文字についてはよく知らなかった。三つの象形文字の中で現在も使われているのがトンパ文字で、いま日本で静かなブームになっているということを、電網写真館 asia photo netというサイトで知った。
上の写真はトンパ研究所に保管されている古いトンパ経典(象形文字経書)
このホームページに「とんぱ酉」のアニメーションがある。鳴き声は、日本の鶏とおなじで、わたしにはコケコッコーと聞こえる。トンパ(東巴は、中国雲南省の少数民族(55あり、そのうち23が雲南省に住んでいるとのこと)のひとつであるナーシー(納西)族(naxi zu naxi ethnic minority group)が使っている象形文字だそうである。[写真はChina Internet Information Centerより拝借した]
雲南納西族東巴文字に、「トンパ文字」のすべてがある。トンパ文字と画像がたくさん使われており、トンパ文字辞典やトンパおみくじもあるユニークなページである。関心のある人は訪問されると良い。
「飢餓(きが)海峡、それは日本のどこにでも見られる海峡である。その底流に、われわれは貧しい善意に満ちた人間の、どろどろとした愛と憎しみの執念を見ることができる。」冒頭のナレーションの言葉である。そして「本州と北海道をつなぐ津軽海峡は、いま台風直前の不気味な風浪の中にあった」と続く。
Love is like magic And it always will be. For love still remains Life's sweet mystery!! Love works in ways That are wondrous and strange And there's nothing in life That love cannot change!! Love can transform The most commonplace Into beauty and splendor And sweetness and grace. Love is unselfish, Understanding and kind, For it sees with its heart And not with its mind!! Love is the answer That everyone seeks... Love is the language, That every heart speaks. Love can't be bought, It is priceless and free, Love, like pure magic, Is life's sweet mystery!!- Helen Steiner Rice -
Angels & Demons 天使と悪魔(上)
"A Breathless, real-time adventure....
Exciting, fast-paced, with an unusually high IQ."
---San Francisco Chronicle
"Dan Brown has to be one of the best, smartest, and most accomplished
writers in the country."
---Nelson DeMille
昨年12月にマンハッタンの本屋で一番のスペースを占めていた#1 New York Times
Bestselling Author of the Da Vinci Codeとのふれこみの本である。ハードカバーの初版は2000年で、ペーパーバックが出たら買おうと思っていたのを娘が買ってくれた。ご承知のとおり、著者は「ダ・ヴィンチ・コード」のダン・ブラウンである。日本のamazonで調べたら、815円である。日本円でも安く買えるようになったものだと驚いた。
ダン・ブラウンのほかの著書で読みたいのはつぎの二つである。
Deception Point 1996年の醜聞事件...NASAは当時のクリントン政権に、地球以外の惑星に生命が存在した証拠が見つかったと報告したが、その根拠の不透明さが露見した事件から着想したスリラー。冒険、ロマンス、殺人、不正行為がつぎつぎと起こり、ハラハラする緊張感が続く。米国の宇宙計画の裏側や新情報に対する政治家の反応に興味がある。
Digital Fortress インターネットの時代を反映した本。パソコンに興味を持ち、武器を扱う能力よりも知的能力を備えたヒーローを好む読者を対象に書かれた。戦場はサイバースペースで、国際政治の中で、暗号化技術が担う重要性に着目したい。
その前に、手元にあるDean Koontzの本を先に読むつもりであるが、「ローマ人の物語」も面白いので目移りしてしまう。
Odd Thomas By the Light of the Moon ローマ人の物語
ローマ人の物語(1)―ローマ誕生、王政から共和政へ。前753年、一人の若者ロムルスと彼に従う3千人のラテン人によりローマは建国された。7代続く王政の下で国家としての形態をローマは整えてゆくが、前509年、共和政へ移行。その後、成文法制定のために先進国ギリシアへ視察団を派遣する。ローマ人は絶頂期のギリシアに何を見たのか 。比類なき大帝国を築きあげた古代ローマ。その一千年にわたる興亡の物語がいま幕を開ける。
冬の運動会
人間の本質と家族のあり方を追求して話題になった1977年の名作ドラマの小説化
Henry Mintzbergが考えるリーダー育成
実践、修羅場体験、個々人の経験(キャリア)、
そして自己のふりかえりを重視したリーダー育成が必要である。
リーダーシップ開発のポイント
この世界はすべてこれ一つの舞台、
人間は男女を問わずすべてこれ役者にすぎぬ、
それぞれ舞台に登場してはまた退場していく、
そしてそのあいだに一人一人がさまざまな役を演じる。
「お気に召すまま」第2幕第7場/ シェイクスピア
小田島雄志訳(以下同様)
今日お昼の時間に「嵐が丘」にまつわる話を書いた。夕食後、ブロンテ姉妹の生い立ちが気になったのでBronte Sisters - Haworthを調べた。そして、二つの符号に気づいた。
ひとつは、「嵐が丘」が出版されたのは、私が生まれた年からちょうど100年前であるという事実(あっ、私の歳がばれた(笑)…「性ホルモンで10才若返る」を心がけているから、七掛け人生で39歳だと自称しておく)。
もうひとつ、なんと今日がエミリー・ブロンテの命日である。まったくの偶然である。しかし、エミリーが死後の世界からヒースクリフに語りかけたのと同じように、あたかも今日この日に私に筆をとらせたのではないかと不思議な因縁を感じる。
Brontes Chronology Biography - Emily Bronte
エミリー・ブロンテ(Emily Jane Bronte) 1818−1848
ハワースの牧師館で読書好きの娘時代を送り、架空の国アングリアやゴンダルを舞台にした物語に想像の翼をひろげ、創作に向かう。18歳のときに教師となるが半年でやめる。1842年、姉のシャーロットとともにブリュッセルに半年間遊学。以後はハワースで暮らし、詩や散文の執筆に励む。1846年に妹のアンを含めた三姉妹で詩集『カラー、エリス、アクトン・ベルの詩集』を自費出版した。翌年『嵐ヶ丘』が出版されたが、評判はかんばしくなかった。そうした中で喘息を病み、明くる年の12月19日に30歳で死去。(「英米女性作家」 ミネルバ書房)
No Coward Soul is Mine
「私の魂は臆病な魂ではない、
この世のあらしの中で震える魂ではない」サマセット・モームの言葉(「世界の十大小説」より)
「『嵐が丘』は例外的な作品なのである。同時代の他の小説とは、いささかの関係も持っていない。出来映えはひじょうに悪い。だが、同時にひじょうにすぐれてもいる。醜く忌わしい。だが、同時に美しくもある。恐ろしい、読む人を苦しみ悩ませる、力強い、情熱にみちた書物である。」Wuthering Heightsの一節から
'My love for Linton is like the foliage in the woods. Time will change it, I'm well aware, as winter changes the tree - my love for Heathcliff resembles the eternal rocks beneath - a source of little visible delight, but necessary. Nelly, I am Heathcliff - he's always, always in my mind - not as a pleasure, any more than I am always a pleasure to myself - but, as my own being - so, don't talk of our separation again - it is impracticable; and -'
She paused, and hid her face in the folds of my gown ;★この作品の著作権はなくなっている。読みたい人は、ここからダウンロードできます。
Visit Bronte Country, Haworth, Keighley, West Yorkshire, UK
嵐が丘...それは青春の甘い香りであった。ヒースクリフとキャサリンの苦しく切ない愛の物語であり、あの世とこの世の境を彷徨い、断ち切れぬ想いを抱いてなお生きる男の暗い物語でもある...と記憶しているが、正直その物語の内容はよく覚えていない。ただ、青年期の若者の心の琴線に触れるものがあることは確かである。
高校生の頃に読み、「物語の主人公で、同情心と敵愾心の両方を感じた主人公はこのヒースクリフが最初である...」と日記に書いたのを覚えている。そして、抒情豊かに描かれたヒースの丘を駆けるヒースクリフとキャサリンの姿がいまも瞼に焼き付いている。映画を見たことはない。30数年前に読んだ本がこれほど印象深く残るのは、やはりイギリスの古典文学を代表する作品に値するからであろう。そう思うのは私だけではないようで、イギリスを旅する機会にブロンテ姉妹の作品の舞台になった村を訪ねる日本人が多いそうである。
「嵐が丘」を書いたエミリー・ブロンテ、「ジェーンエア」を書いた姉のシャーロット・ブロンテが暮らし、そして短い一生を終えた土地、ブロンテ・カウントリの歴史案内をみると、ヨークシャー州の観光名所で日本語の案内があるのはHaworth Village(ブロンテ姉妹が暮らした村)だけだそうである。
この土地を訪れ、ヒースの丘を歩き、19世紀半ばに書かれた愛の物語に思いを馳せたいと思ってきたが、いまだにその願いはかなえられていない。ICQで知り合った人が新年にイギリス旅行をするというのを知り、またこの「嵐が丘」に気を引かれ、インターネットでその地理的位置と歴史や観光スポットを調べながら、ブログしているというわけである。
ある晩、本棚を見てふと手にした「嵐が丘」...中央公論社出版の当時としては豪華な装丁の赤い表紙の本である。月一回配本の「世界の文学」シリーズの一冊で、この全集を購読したいがためにアルバイトに精出したのであった。一度読んだ「嵐が丘」をまた読み出したら止まらなくなり、最後まで読み返してしまった。春にはまだ早い寒い夜であった。窓の外を見ると雪が降っていた。少し仮眠して新雪を踏んで出かけた。三月三日、大学受験の日であった。大事な受験日の前夜であることを忘れさせるほどの感動と興奮を与える本である。
1801. - I have just returned from a visit to my landlord - the
solitary neighbour that I shall be troubled with. This is
certainly a beautiful country! In all England, I do not believe
that I could have fixed on a situation so completely removed from
the stir of society. A perfect misanthropist's heaven: and Mr.
Heathcliff and I are such a suitable pair to divide the desolation
between us. A capital fellow! He little imagined how my heart
warmed towards him when I beheld his black eyes withdraw so
suspiciously under their brows, as I rode up, and when his fingers
sheltered themselves, with a jealous resolution, still further in
his waistcoat, as I announced my name.
会議が終わった後、有隣堂に立ち寄る。新刊書のコーナーで目に付いた本の一つが「こうして私は世界No.2セールスウーマンになった」である。
この本を買うつもりはなかったが、その背景にあるストーリに関心をもった。著者は、ブリタニカ社の営業ウーマンとして世界第二の売り上げを記録し、本社営業部長にもなった。30歳前半で年収3800万円・・・その仕事も卒業し現在はコンサルタントや講演活動に従事している。
立ち読みで印象に残った著者の言葉がある。
1.挫折は人を大きくする(大変つらい目にあっている)
2.自分ではもう歩けないと思ったら、だれかのために一歩でも前進してください。
3.目の前にあることに向かい合ってください。
これらの言葉は、実は著者の、亡き母親からのメッセージであり、著者がキャリアウーマンへの道を歩むときの支えになったという。