ソクラテスの対話法(dialogue)
疑問を発すること!的を得た質問をすること!
Ask questions. Ask right questions.
ソクラテスは発見するためには使っていない。ソクラテスは「無知の知」といって、偉そうにしていて何かを分かっているようなつもりでも、じつは人間は何も分かっていないということを弟子や一般市民たちに知らしめるために「対話法」を使った。質問をして行くうちにそれに答える人間は自分が何も分かっていないことを思い知らされる。
この対話法が自然の法則を発見するために非常に有効であることは後世になって気が付いた。ガリレオは子供たちのために『天文対話』(岩波文庫)という本を書いて、その中で対話法を駆使している。
人間は未知の領域に入り込むと自分の置かれている状況や方向性を見失いやすいようにできている。それを見失わないようにするための道しるべとなる質問が重要になる。問題は、正しい順序で質問を繰り出せるかどうかである。そのための訓練と経験が必要となる。
アメリカの中高生の授業では、先生と生徒が一体になって質問し合って討論するのが基本である。使っている本で有名なのが、George Polyaの『How to solve it』という本で、対話法を数学の問題の解き方に応用している。ポリアという数学者(1887〜1985)が学生のときに家庭教師で生徒に説明していたときに、問題の解き方を見失ったことがあって、恥ずかしく悔しい思いをした。それ以来、分からない何かを見つけ出すにはどうすればいいかと必死に考えて、この対話法にいきついた。数学の解法に焦点を当てているが、人生の問題一般に通じるものがある。20世紀後半のアメリカの優秀な人たちは、中学・高校時代にこれを参考書にして数学を勉強した。アメリカ人の精神の強さの出発点かもしれない。
第1段階( 問題を理解する)
- 求めているものは何か?未知のものは何か?
- データはあるか?前提条件はなにか?
- その条件を満たすことができるか?
- それは求めているものを決定付けるのに十分なものか?
- 不十分か?冗長か?矛盾するか?
- 図解せよ!適切な表記法を用いよ!
- 条件を分解し、個別に検討する。書きとめよ!
第2段階(すぐには与えられていることと求めるものが結びつかないとき)
- まず求めるモノに注目!
- それでもダメなときは求めるものに関連している問題を考える。過去に見聞きしていないか?すこし違ったものはないか?関連した問題を知らないか?使えそうな理論はないか?過去の結果や手法を適用できないか?
- それでもダメなときは問題を別な観点から眺めてみる!求めるものを言い換えられない?与えられているものを言い換えられない?
- それでもダメなときは、何か見落としがないか?何か忘れていることがないか?(以下省略)
第3段階 Carry out your plan.
- 解を導き出す計画をする。解にいたる各ステップの妥当性を調べる。
- 各ステップが正しいことを確認できるか?
- 正しいことを証明できるか?
第4段階 Examine the solution obtained.
- 結論を検証できるか?反論に答えられるか?
- 異なる視点から解を導き出せるか?全体が見渡せるか?
- 解の結果や手法をほかの問題解決に使えるか?
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アリストテレスの論理学 LOGIC
ほかの可能性は?あらゆる可能性を考えてひとつひとつ検討していく。
経験に基づき、演繹的に理解していく。(つづく)