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視線の行方

ビジネスの現場、とくにハードな交渉の場では、相手の目をしっかりと見つめて話をすることが大切です。視線をそらすことは、自分の意見・主張に自信がなかったり迷いがあると考えていいでしょう。相手の質問に即答できず答えを模索するときに視線をそらしてしまう。意見がまとまらず考えるときに一瞬視線がそれることもある。

視線は対話をするときの基本です。視線がそれると、相手は不審に思ってその視線をたどったリ、「もしもし、聞いていますか?」と注意をしたりすることもある。これが度重なると「不信の念」が生じかねない。不愉快な思いになって話す気も失ってしまう。これでは互いの信頼関係を築くことは不可能である。交渉は平行線のままで進展はなく、結果的に決裂でしょう。

誠実であること、情熱をもつこと、フェアであることが前提条件になります。その上で自分のしっかりとした意見・主張をもつこと、それを具体的な企画書や事業計画書、妥協点を探るための代替案などを事前に吟味しておくことが重要です。それがない行き当たりばったりの考えで交渉に臨むことは、自らの立場が不鮮明で何を交渉しようとしているのか不明になるだけでなく、相手にこちらの意図が伝わらないことになる。またビジネス以前の問題で、交渉相手に失礼でもある。

このしっかりとした意見・主張は、英語でいうとOpinionではなくAssertionでしょう。交渉の場であれこれ意見(Opinion) を交換するだけではポイントがずれてしまう。交渉の結果得たいことを明確に意識して、こちらの要求、相手に期待することを「断言(Assertion)」する。柔らかくいうと忌憚なき意見を述べることである。この方があれこれ考えを述べるより、相手の信頼を得ることができ、本音で相互に利点が見出せるような交渉ができる-----。

弱肉強食の野生の世界と同じで、視線をそらしたほうが負けである。日々是恋愛な男女の世界では、視線をそらされた方が負けになるのとは反対である。