恐れを知らぬ冒険
2月12日から17日間の旅をした。国の委託調査の一環としてヨーロッパ各国を訪問し述べ30人以上の政府関係者と民間企業の経営者と話した。日本を経つときにはアポイントが半分も確定しておらず日程も不定で、旅をしながら飛行機・電車とホテルを予約しなければならなかった。
訪問先の日程が変わればフライトとホテルをキャンセル・新規予約をする。2週間の間に10カ国を出入りするという強行軍であった。早朝5時に起きてロンドンからブラッセル行きの電車に乗り昼食をはさんだ二つのミーティングを終えたその足で午後4時のベルリン行きの飛行機に飛び乗る...。
翌日のベルリンでの連邦内務省ほかとの打ち合わせのあと夕刻にはブラッセルに戻り、夜8時からミーティングといった具合で息をつく暇もなかった。時間を見つけて残るミーティングの確認とその日程に合わせた飛行機とホテルの手配......。
私一人の旅ならどうということはなく多少のミスはあとでリカバリーできるが、今回は常時6人が行動を共にすることが多く、ミスを犯すゆとりのないことが重圧でもあった。結果として現地集合的な日程となってしまったり、訪問先のアポが重複し二手に分かれて調査することもあった。真冬のヨーロッパ各地は寒く荷物もかさばりまた全工程を通じて天候不順であったことも難儀なことであった。
言葉の壁も大きくとくにフランス訛りとイタリア訛りの英語での聞き取りや、移動中の通りすがりの人に電車乗り場や訪問先の場所を聞くのに苦労した。今回は政府機関の訪問が多く、アメリカと違っていずれも大都市の市街地にあるので、土地不案内と駐車場所を見つけるのに時間がかかることを考えてレンタカーはあきらめ電車とタクシーを併用した。現金が必須でどんどんなくなるのには閉口した。
アメリカのドル口座を持っていること、クレジットカードも4つ持っていることがひとつの安心を与えたが、市内のホテルは高く、また航空券も現地で個人的に立て替え購入しなければならなかったため月百万円の限度額もVisa, Master Cardともにオーバーしてしまった。帰国日の前日にインターネットで手配したParisからFrankfurtのチケットが発効されておらず予約のフライトに乗れず再度チケットを購入する。第三のクレジットカードが有効で助かった。最後の最後までハップニング続きの旅であった。
幸い大きなミスもなく予定の調査を終えることができてホッとしている。睡眠時間が4~6時間で体力・知力ともに限界に近づいていたのだろうか?Frankfurtからの飛行機の中では好きな映画も一本しか見れず、食事のときは不思議と眼が覚めるがそれ以外は昏睡状態...。成田から2時間の電車の中でも昏睡。そして昨夜からはさらに昏睡状態に入り、途中一回トイレに起きただけで23時間も眠った。お風呂に入ったあと意識も戻り?! いまこうして日記を書いている。
調査の日程をこなしたが、専門外の課題に対して30人もの専門家たちとの会話から得られた発見をどうまとめるかが難題である。とくに意味がわからないままにとったメモの解読が厄介である。とにかく始めて聞く専門用語や機関の略称、法律用語が多いのに閉口する。SOXとかBaselとかは前知識があるが、各国の法体系や監督省庁の名前あるいは民間の監視機関の名前などは、とくにフランス語やイタリア語では類推もできず厄介極まりない。
英語サイトがあればあとで確認をしながら理解を深められるが、フランス語、イタリア語、ドイツ語のサイトでは読むことさえできずお手上げである。知己を得た人々の手助けを請うほか手段がない。十数年前の駐在員時代は専門外のことを依頼を受けて調べるのがひとつの仕事であったが、その時から較べると知力・体力、そして集中力が衰えているのがハンディキャップとなるが、昔取った杵柄が役に立つことを願うばかりである。
過去何百回となく仕事で旅をしたがそのなかでも強行軍と言う意味ではワースト5に入る出張であろう。反面、密度の濃さで名ベスト5に入る。その恋密度の内容を奉公すためにかなり時間をとられることだろう。ということで、しばらくこのブログサイトへの書き込みも途絶えるかもしれないが、旅の途中で見聞したことを時間を見つけて書いていこうと思う。