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20世紀でもっとも有名な暗号機

20世紀でもっとも有名な暗号機が「エニグマEnigma」である。簡単な機会で複雑な暗号を作ることができ、第二次世界大戦でドイツ軍が無線通信に使用。大戦初期の電撃作戦に貢献した。ドイツ軍はエニグマに絶大な自信を持っていたため、これが連合軍に解読されるとは思っていなかった。

しかし、イギリス軍はこの解読に全力を挙げ、Alan Turingたちがその解読に成功した。その結果、連合軍は戦いを有利に展開することができ、ノルマンディ上陸作戦を成功に導いたといわれる。また歴史家によれば、この暗号解読の結果、戦争を2年間早く終結させることができ多くの人命を救ったともいう。

この解読はイギリスのBletchley Parkで大掛かりな解読チームによってなされた。それを記念した博物館がロンドンの北西50マイルにある。左の写真は同館所蔵のEnigma Machineである。このほかに歴史上有名な暗号機としてThe Bombe, Lorenz, Colossusがあり、同館に展示されている。

アメリカには暗号解読に関心のある人たちが集まる協会ACA(American cryptogram Association)がある。チェス同好者と同じ知的ゲームを趣味とする人たちである。その歴史は第二次世界大戦前に遡り、ACAが設立されたのは大恐慌時代の1929年9月1日である。

年一回展示会を開催しており、今年は8月11-13日に米国シアトルで開かれる。また、"Spies, Lies & Intelligence"をテーマにした会議が9月3-8日に英国オックスフォードで開催される。

暗号に関する個人サイトでは、ジャーナリストでTVプロデューサのSimon Singhがお勧めである。暗号の歴史を書いた本The Code Bookを1999年に出版している。日本でも2001年に翻訳版「暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで」が新潮社から出版されている。因みに、彼が本を書くときの余興としてThe Cipher Challengeという暗号解読に挑戦するプログラムを作った。世界各国の挑戦者たちが暗号解読に取り組み、Stage 10までのすべての解読に成功したスウェーデンの5人組チームに10万ポンドの賞金が贈られたとのことである。