歌舞伎の「白井権八」と「比翼塚」
先の記事の続きである。「平井」というのを、同じ「大辞林 第二版」で調べた。たった一件だけあった。「平井権八」である。あまり良い名前ではない。
「江戸前期の武士。鳥取藩士であったが人を殺して退去。江戸で強盗殺人を犯し延宝年間(1673-1681)に磔(はりつけ)になったという。歌舞伎の白井権八のモデル。」とある。まさか彼が祖先ではないでしょうね!もっともそんなことをいったら、佐藤・鈴木・高橋さんなんかは、同じ苗字の殺人者が何人も祖先にいることになってしまう(笑)それにしても「歌舞伎の白井権八」とはなにものかな?
と思ってまた調べた。「人を殺して・・」とか「強盗殺人」、「磔」とあるので極悪人かと思ったらそうでもない。鳥取半紙の時に人を殺したのは、自分の父を侮辱した父の同僚を斬った、ということ(権八、殺害の顛末)。武士にとって「侮辱」は「死」に値するものだった。
「強盗殺人」は、「吉原(よしわら)三浦屋の遊女小紫と馴染(なじみ)となって金に困り、浅草日本堤(にほんづつみ)で通行人から金銭を奪い辻斬(つじぎ)り殺人強盗を重ねました。」(権八・小紫の比翼塚)という記事があった。これは許せないことですねぇ。「美貌の若侍」だったから大目に見るというわけにもいくまい。
「磔」は、「改心した権八は死ぬ前にもう一度両親に会いたいと思い、虚無僧(こむそう)となって郷里鳥取に帰りましたが、すでに両親とも他界していました。観念した権八は江戸に戻って自首し、鈴ヶ森(すずがもり)で処刑されました。」(同上)ということ。そして小紫が後追い自殺をし、この二人を哀れに思った人々が、「比翼塚」を建てたという。それが目黒にあるんですねぇ。「江戸情緒」のひとつだそうです。外国人観光客向けの「江戸情緒満喫ルート」というのもあるので、のんびりと散策を兼ねて訪ねるのも良いかもしれない。写真は「私立PDD図書館」にある写真にリンクさせていただきました。
追記)1928年に「白井権八」という題名の映画があるんですねぇ。映画全盛時代に有名だった円谷英二撮影で、高田浩吉も出演している。