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銀行の手数料はペナルティ?

昨年に、ある銀行から電話がかかってきて、「振込み先の口座が間違っています。ついては口座に繰り戻しが必要で、印鑑と通帳と身分証明書を持参ください。手数料が840円かかります。」といった。しかも、その銀行の窓口まで出向かないといけなかった。面倒なことだった。一万円の振込みで、結局千数百円の手数料と貴重な時間を費やすことになった。アメリカだと電話一つで済む。ソーシャルセキュリティ番号や運転免許証番号、自宅住所、誕生日などを告げて身分証明をする必要があるが、それだけである。手数料も不要である。


最初なんのことか分からなかったが、前日に香典を立て替えてもらっていた友人の口座にATMで振り込んだトランザクションのことだった。相手口座の支店名が違っていたのが原因だった。「みずほや三井住友といった昔からの銀行だったら問題ないのですが、相手銀行が新生銀行ですので・・・」という。いくつかの疑問と銀行の対応に義憤を感じた。

・最初の電話の話し方・・・事務的な通告!「お客様の間違いだから、当然でしょ」といった口ぶり。銀行の決まりだから従ってもらいます・・・ということだ。驚きました。

・自分のお金を自分の口座に入れるために手数料を銀行に支払う。しかも、振込み手数料がたしか200円くらいだったと思うから、その4倍!再度振り込みにまた200円・・・

・一万円の振込みに、手数料1240円・・・一日で12.4%のペナルティを課す・・・ということである。しかも銀行に出向いて、貴重な時間を費やせ・・・ということである。

・日本の銀行口座番号は、支店番号も含んだ番号になっていないのか?不思議である。xx銀行yy支店zz口座 999999 となっている。zzは普通、総合など。これが消費者にとっては間違いのもとではないか。アメリカの銀行は一つのユニークな口座番号だけである。銀行間取引でも同じである。

・相手の支店名が間違っているのに、手数料を取って受け付けるシステムがおかしいのではないか?
銀行ネットワークの問題でもあるのに、すべてをお客の間違いにするのは責任逃れではないか?アメリカのATMでは、こんな問題は経験したことがない。

・日本の銀行の窓口に10年ぶりくらいで行った。驚いたのは、銀行員がみんな座って仕事をしていることであった。「お呼びするまでお待ちください」といって番号札を渡される。アメリカではどこに行っても窓口のテラーは立ってお客と同じ目線で仕事をしている。番号札などない。

件の銀行口座は30年以上も使っている。給料振込み口座でもあったから、預金の多少にかかわらず、銀行にとっては大切にすべきお客の口座ではないかとも思った。もっとも合併連衡で、もとの銀行の組織風土は瀕死の状態になっているのかもしれない。

日本の銀行がすべて同じだとは言わない。新生銀行は、八城会長(当時)のシティバンクでの経験が活かされ、たとえば新規口座を開くときに「印鑑」は不要で自筆の署名だけ、通帳はない、口座開設と同時にドルやユーロなど10種の貨幣の口座が作られる、振り込み手数料ゼロ・・・というように顧客の利便性を考えている。

私という顧客がそ件の銀行に不満足を感じた。そうするとどうなるか? 当然ながら、その銀行とは取引したくなくなる。当面ひつようとなる数百万円だけ残して、あとは全部引き上げ、ほかの外資系銀行に移した。

今朝、件の銀行から電話があった。「振込み先の口座が存在しません。繰り戻しに手数料が840円かかります・・・・」 昨年とまったく同じ手続きの説明だった。その人は申し訳なさそうに、こちらの気持ちを忖度しながらの口調だったし、その人が悪いわけではないから、昨年の腹立たしさはなかった。「なんだ。まったく改善されていないじゃないか」とあきれるしかなかった。今回は振り込み手数料が420円だったから、合計1680円のペナルティ(?)を支払うことになる。

「相手の口座がないのを確かめなかったお客さんの間違い、お客さんが悪いのだから、銀行で処理するのに必要な手数料を払うのは当然です」といわれているような気がする。ATMで振り込むときに、なぜシステムはチェックできないのだろうか?

最初の振込み、口座に繰り戻し、また別口座に振り込み、それぞれ手数料がいる。手数料というより、「ペナルティ」のほうが妥当なコトバと思うのはわたしだけだろうか?

こういうことがあるとお客はどうするだろうか?輪つぃの場合はかんたんである。二度もあり思わぬ時間を取られるのはもうたくさんだ・・・口座を解約しよう!ということになる。件の銀行は、一つ口座を失い、まぁ金額は銀行にとってはゴミだろうが、顧客の不満を生み出す。その顧客は、私のようにその銀行の仕組みをこのようにブログに書いて公表する・・・巨大銀行にとっては痛くも痒くもないだろうがね。

しかし、これが個人ではなく大企業との取引だったらどうなるか?銀行側は大変なもんだいになり、支店長は首になるかもしれない。いやな経営の醜態をさらすことになるかもしれない。それが、顧客満足度を高める経営努力がいかに大切かという格好の事例になるだろう。