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アメリカ発世界自動車危機

09020201.jpg過去80年間、世界一の座に君臨してきたGM帝国が崩壊の危機に立っている。売上げ16兆円、2007年販売台数は930万台を突破していた。その好調な 販売を支えたのは、SUVという多目的スポーツ車だ。一台800万円もするSUVを、ウォール街と手を組んで自動車ローン商品を作り、本来高価な車に手が 届かない人に売りつけていた。昨年9月バブルが消え、GMは経営破たん寸前に追い込まれた。


昨年暮れには90年の歴史をもつ主力工場を閉鎖。自動車メーカが膨大な部品会社を使う産業のあり方までもが崩壊の危機にさらされている。デトロイトだけで もGM系列の部品会社は2000社もある。ある部品メーカでは2ヶ月で受注が4割も減るという事態に追い込まれ、経営努力が追いつかない状況に陥ってい る。

100年にわたって世界経済を牽引してきた自動車産業、その危機がなぜ今、アメリカを震源に起きているのか?これからどこへ向かうのか?世界自動車危機の最前線を追ったNHKスペシャル番組・・・。

09020203.jpg自動車危機は過去何回か起きている。デトロイトで日本車打ちこわしの暴動があったこともある。排ガス規制法による競争の激化、日米の自動車メーカの提携、 そして深刻な日米貿易摩擦、スーパー301条など日米間の対立を生んだ歴史がある。しかし、今回の危機は、ウォール街の金儲け主義が生んだアメリカ発の自 動車産業危機だ。過去に起きた事態とは様相が違っている。

政治でも産業界でもメディアでも、100年に一度、未曾有の危機ということばが頻繁に使われるようになった。そのとおりだろう。しかし、一般国民は、不況 の風にあたっている実感がでてきているが、100年に一度の危機だということの意味を理解するのは困難だろう。100年前を知らないのだから・・・。

未曾有の危機が、時とともにじわじわと押し寄せており、その影響をみんなが受けることになる。世界同時進行であるから、一国の政策だけではどうにもならない。アイスランドのように、一夜のごとくに株が10分の1に暴落し国家が破綻する危機に襲われたことも事実だ。

09020202s.jpg悲観的過ぎる、取り越し苦労だという声もあるかもしれないが、備えあれば憂いなしだ。そのことをしっかりと受け止め、国民一人ひとりがいかに家族を守り生きながらえていくか・・・これまでとは違う価値観、生き方を考えなければいけない。

NHK番組をみて、そんなことを考えた。