≪ 雌性発生と離婚遺伝子 | Main | Susan Boyle 話題の歌姫 ≫

20年後の日本

 いまから20年後の日本は? (今夜のNHKスペシャルから)

  • 人口 1割減少
  • 消費税率 18%
  • 失業率 13%
  • 年金受給 28%減少

今後、所得が増えないゼロ成長が続くと、超コスト負担社会になる!
NHKの「あすの日本」プロジェクトが、三菱総研と協力して試算した日本の未来像は暗い。
しかし、それが現実だということだ。

これから20年、日本を第一線で支えていくのは現在35歳の人たちだ。オイルショックの1973年に生まれた団塊ジュニアと呼ばれる世代は、高校を卒業するときに日本のバブルがはじけ、就職氷河期に社会にでた若者たちだ。日本の経済が衰退する中で社会人として生きてきた彼らが、先行きに不安を抱き、収入が増えない中で結婚ができず子育てにも苦労している現実がある。

そうした35歳の人、1万人を対象に実施したアンケート調査の結果は、たいへん哀しい現実を浮き彫りにしている。

  • 将来生活が良くなる 15%
  • 収入はもう伸びない 69%
  • 給料が減った 42%
  • 貯蓄を取り崩した 56%

妻と子供2人を持つ25歳の男性の基本給は昨年から10%カットされ、335万円。住宅手当を含めて年収370万円の生活は苦しい。支出の1/3は住宅ローンの支払いにあてなければならず、家族4人が生活していくためにアルバイトもしなければいけない現実がある。

  • 理想の子供人数をもてない 54%  うち74%が経済的負担のため
  • 働きたい主婦 93%  うち78%が生活の維持のため

1万人のアンケート対象者の66%が転職経験を持つ。所得別に見ると、年収500万円台の人の54%が転職経験があるのに対し、年収200万円未満の人たちの場合、82%が転職経験があるという。

つまり、転職が収入の増加につながらないという事実が見える。

少しでも転職を有利にするために15もの資格を取得した35歳の男性。月収は16万円だという。付き合っていた女性がいたが、その女性の父親から「そんな給料で家族を養っていけるのか」と反対され、結婚をあきらめた。「このままでは世帯を持つことができない」と男性は嘆く。

収入が少ないため結婚ができないと答えた35歳

  • 正社員の人 35%
  • 非正規社員の人 70%

会社が倒産するかも知れないというっ不安があると答えた人が42%、解雇されるかもしれないという不安を抱いている人も30%いる。35歳の平均年収は、1997年に500~600万円だったのが、2007年には300万円になっているという。たいへんな低所得社会になったということだ。

結婚できない35歳女性の出生率は、なんと0.86だという。1940年のとき35歳の人の出生率は1.46、70年には1.28だったという統計数字と比べると最悪の少子化指数を示している。

暗い、哀しい35歳の生活実態、意識を示すアンケート結果になっているが、それが現実なのだろう。社会にでてから良いことを経験していない世代であれば、バブルに沸いた思い出と比較することもないため、淡々と現実を受け止めているのかもしれないが・・・。

ある程度感覚的にはうなづける予想だが、35歳1万人のアンケート結果を突きつけられると、日本の現在そして将来の姿に楽観は許されないと改めて思う。

日本の今後20年間をになう35歳の人たちが希望を持てる社会にするための提言がある。目標とする社会は、次の二つ。

  1. 安定して仕事を得られる社会
  2. 安心して子供を育てられる社会

終身雇用体制が崩れ、企業が社員を守れなくなったいまは、政府が守らなければならない。英仏の事例を紹介しながら、「積極的雇用政策」を実施すべきだという。ハコモノ投資から「人」への投資、職業訓練や就職支援をするということだが、同じことが80年代末から言われ続けている。

フランスでは「子供なくして未来なし」というスローガンの下に、二人目の子供には月2万円の補助金支給する制度が効を奏して、出生率が94年の1.65から2008年には2.02に増加したという。

日本は岡山県、西粟倉村が住宅・子育て支援をした結果、都会から家族が移住したという事例を紹介していた。取材した家族の場合、大阪で家賃10万円、子供を預ける保育園の費用7万円に耐えかねて移住した。150平米の大きな民家の家賃2万円、託児所費用は8000円、二人目は4000円、三人目は800円・・・。住宅と託児所費用だけで14万円も削減できた勘定だ。

三菱総研のシミュレーションによれば、積極的雇用政策を実行すれば25万人の正規社員雇用が増え、GDP成長を20年間で5.7%押し上げられる効果を生む。400億円投資すればGDP成長とともに税収が増え失業手当至急が現象するので、800億円のプラス効果があるという。

このシミュレーションは楽観的に過ぎると思う。右肩あがりで今後20年間もGDPが増え続けるという前提が間違いだろう。ゼロ成長あるいはマイナス成長だという前提のもとに政府も企業も思索を考え早急に実行し、そして国民一人ひとりが所得が増えないという前提でどう生きているかを考えなければいけない。