弱い絆の強み
スタンフォード大学社会学部教授のマーク・グラノヴェッターが1972年に発表した「The Strength of Weak Ties」という論文がある。後世の社会学に大きな影響を与えた論文である。
この論文の主張は、「社会的絆によって形成される社会ネットワークにおいては、古くからの友人といった、自分にとって強い絆で結ばれている人物よりも、ちょっとした知り合いのような弱い絆で結ばれた人物のほうが、自分に与える影響が大きい。」ということである。
グラノヴェッター教授の調査によれば、「管理職や専門職の人々に今の職を得るために力になってくれたのは誰だったかを訪ねた結果、その返事はいつもきまって『ちょっとした知り合い』だった。」という。
「君子之交淡若水、小人之交甘若醴」(君子の交はりは淡きこと水の若(ごと)く、小人の交はりは甘きこと醴(れい) の若し)―「荘子」山木篇
はるか昔から、優れた人との交流はあっさりしたものである。