攻撃対象になるSNS社会
SNSは、仮想世界における伝統的なコミュニティよりも安全である、と過信するのは危険である。友達の招待がないとSNSに参加できない。知り合いの知り合いが参加するので安全だ、とはいえない。
人口100人の村社会が互いに信頼し、自分の村は自分たちで守る。そのためには、明文化されていようが暗黙の了解であろうが、なんらかの「掟」が自然発生する。日本のかつての村社会で、その掟を破って村民100人の安全を脅かすようなことをすれば「村八分」になり、もうその村では生きられなくなる。そんな掟や法律、規範といったものがあって始めて村の安全と安心が保たれる。
SNSも小さな村社会の集まりであれば、それぞれが自衛権を行使して外からの嫌がらせや攻撃に対処できるであろう。しかし、その社会が大きくなればなるほど、その構成メンバーたちの目が届かなくなり、メンバーの中に掟を破るものが出てきたりするものである。現実の世界でも互いに知っているというのは安心の一要素であり、匿名社会よりは良い面があるだろう。しかし、友達の友達は友達…というわけにはいかないのが現実の世界でもある。
アメリカのMySpaceはSNS、とくにTeen Agersや学校の同窓生をターゲットに会員を増やしてきたようだが、数千万人を超えて、その社会が内在する問題が顕在化しだしたのが昨年のことである。参加メンバーが社会の裏側を知らない「純真さ」ゆえに、なんの衒いもなくプライバシーをさらけ出している。MySpaceに参加すればそのことは一目瞭然で、そうした「子供たち」の親でなくとも、そこで曝け出された情報が犯罪に利用されるのではないかと不安を抱く。アメリカで最初に騒ぎ出したのは「親たち」で社会問題になっていると聞く。
Microsoft Internet Exploreの脆弱性をついたViruses,Worms,Spywareなどが横行するのと似たような理由で世界最大規模を誇る仮想社会のMySpaceが攻撃や嫌がらせの対象になるのは自然な成り行きであろう。
昨年の秋にMySpaceでSamy wormの感染が問題になったが、これを書いたのがMySpaceのメンバーであった。SNS内部の人間がおなじ社会に属している友達に嫌がらせをしたのである。Link:Samy opens new front in worm war
そして、先月にも別のWormが発見された。ZDNetやCNET Newsの記事"Worm lurks behind MySpace profiles"で報じられた。ACTS.Spaceflash というwormで、MySpaceのプロフィール(About me)の内容を書き換え、このプロフィールを訪問したユーザを別のサイト(Adobe Flash)に移動するというものである。Symantecは「リスクは低い」といっており、実害も少ないかもしれないが、ユーザにとってはannoyなものである。
対策は、こちらに書いてある。また、Adobe(もとMacromedia)のFlashに脆弱性があるので、それをフィックスしたFlash 9にアップグレードしたほうが良い。