セキュリティ対策ソフト「金山毒覇」
この一ヶ月、コンピュータウィルスとの戦いであった…というのは大げさだが、生まれて初めて「トロイの木馬」に侵入されファイルを壊されたことを先に書いた。試用版のNorton Internet Security 2006やSpyware Blusterなどをインストールし、ウィルス検疫と侵入防護機能の評価をした。
その結果、中国製のセキュリティソフトを使うことにした。シェアウェアである。開発元は1988年に北京で設立された「金山軟件股有限公司」である。日本でも昨年3月から事業を開始した。
製品名は“金山毒覇”シリーズ。言い得て妙である。「アンチウィルス、アンチスパイ、ファイアウォール、アンチフィッシングをひとつにまとめた総合セキュリティ対策ソフト」といっている。その実績(世界で1800万人が使用)や信頼性についてはまだ良く調べてはいないが、とにかく使うことにした。理由は、「速い」「安い」の二点である。それが同社の宣伝文句である。
実際に使ってみてNortonより速いことが実感できる。日本市場では後発であることを踏まえた戦略として「6ヶ月無償で試用」できる。Nortonは15日間で起動するたびに「購読しろ!」としつこく聞いてくる。有償の使用料金はなんとNortonの1/5である。「安かろう悪かろう」かどうかは不明である。ただ、企業用のサーバには対応していなかったり、RAID, RAM, VPNなどでの動作保証がないなどの機能不足はある。しかし、個人で使うには余計な機能がなくて軽快に動作するほうが良いに決まっている。
ところで、セキュリティ対策ソフトは本当に役に立っているのか?その道の専門家に聞くと、「任せるだけではあまり役に立たない」という答えが多い。元ソフト開発者として実感を持って聞くが、「ないよりは良い」というのも事実である。ただ「使いやすい」「分かりやすい」「速い」「使用料が手ごろ」というのが選定基準になるのではないか。
Norton社やMcAfee社の製品を非難するわけではないが、長年商用化された実績のあるセキュリティソフト製品は使いにくい。機能は豊富だがなにがどう機能するのかの理解に苦しむ。機能を追加し、修正に修正を加えていくと「スパゲッティ・プログラム」になっていくのも事実であろう。
そうした結果として、機能が多いことに起因する「分かりにくさ」と「性能が落ちる」というマイナス要因がある。「知らないところで何かが動いている」ことが多くなり、アプリケーションの起動や実行が極端に遅くなってしまう。おまけに、これまで動いていたものがブロックされて動かなかったり、共有ファイルが使えなくなったり、ブラウズするたびに「何かが遮断」されて表示されなかったりする。説明を読んでもさっぱり分からない。意味不明のカタカナの単語ばかりである。我が輩のコンピュータリテラシーの問題かもしれないが、一般の利用者にしても分からないのではないか。なぜ「日本語」で説明できないのだろう?