« August 2005 | September 2005 | October 2005 »

今年3月にダイヤモンド社から『世界で最も重要なビジネス書』『世界で最も偉大な経営者』が発刊された。いずれもすごい題名である。『…ビジネス書』は「思想と人間」、「戦略と理論」、「マネジメントと組織」の三部構成で合計77冊が取り上げられている。「国富論」(アダム・スミス)、「資本論」(マルクス)、「君主論」(マキャベリ)などの歴史的書物から、「人を動かす」(カーネギー)、「現代の経営」(ドラッカー)などの古典的ビジネス書、そして「ビジョナリーカンパニー」「ザ・ゴール」など比較的最近の著作まで、その対象範囲は広い。一冊あたり4〜5ページ程度で解説されている。何を読むべきかを知るために、辞書的にガイドブックとして活用するのも良い。

 「もっとも重要」というなら、もう少し絞って欲しいと思う人もいることでしょうが、経営や事業の中心を担う人たちは少なくとも一年に10冊、10年で100冊は読みこなし日々の業務に活用していることでしょう。「日本経営品質賞プログラム(略称JQA)」というデファクト的な経営の教科書とでもいうものがある。このJQAが重視している考え方や経営の成熟度を診るためのフレームワークに照らして必要と思われるビジネス書から読み始めるのが良い。

JQA(日本経営品質賞プログラム)で求めている記述内容は、兄貴分の米国Malcom Baldridge National Awardで言っていることと微妙に異なっている。とくにカテゴリ記述については、基本的考え方と運営方法…と題して説明があるが抽象的で分かりにくい。多くの人が「何を書けばいいのか分からない」という。

MBNAの説明のほうが具体的に求めていることが分かりやすい。たとえばカテゴリ3「顧客・市場の理解と対応」では、MBNAは次のように説明している。


顧客の声と市場を理解するためのプロセス
 �@お客様の期待と要求に応える
 �Aお客様に喜んでもらう
 �Bお客様の信頼を得る

最も重要なのは、お客様とリレーションをつくり強化することである。
これがリピート商談につながり、良いクチコミ商談を生み出し、ビジネスを継続できる。

1.Customer and Market Knowledge
 自社の製品・サービスを提供するために、
  �@現在および将来の顧客・市場についての知識を得るプロセスをつくる
  �A今後の潜在顧客の要求・期待を理解する
  �B市場の変化をキャッチし対応する
  �Cビジネスのやり方を変える

2.Customer Relationships and Satisfaction
 新しい顧客を獲得し、既存顧客を保持し、新しい市場機会をつくるために、
  �@顧客とのリレーションをどのようにつくっているか?
  �A顧客満足をどのように設定し、改善しているか?
  �B設定した満足度の有効性を評価するための判断基準とその根拠は?

M&Aには概ね以下の4つパターンがある。最も代表的なものが、株式譲渡と営業譲渡。中小企業のM&Aでは株式譲渡が圧倒的に多い。

(1)株式譲渡
① 被買収会社の株式を評価し、通常は100%株式を買収します。買収会社の方は会計処理を示すと、投資有価証券○○○/現金預金○○○という会計処理がおこなわれ、投資有価証券は買収会社の貸借対照表に表示される。

② 買収会社は被買収会社の株式を100%所有することで、被買収会社を所有することになる。株式会社は所有と経営が分離しているので、被買収会社の代表取締役をそのままにして会社を経営させておくことも可能である。

(2)営業譲渡
営業譲渡は被買収会社の特定の営業部門を設備や従業員ごと売却することになる。これは株式譲渡と違い、不動産の売買に極めて近い取引となる。
具体的には、営業譲渡契約書(包括契約書)に譲渡する資産や負債を列挙し、対価を支払うことで契約を成立させる。これに基づいて、不動産の名義を変更したり、車輌の名義を変更したり、債務の引き受けをしたりする。従業員も引き継がれるので、被買収会社で多くの場合、退職金を清算するか配置転換することになる。

(3)合 併 (新設合併、吸収合併)
ここでいう合併は商法上の合併をいう。中小企業のM&Aではほとんど使われることはない。前に述べた株式譲渡で結果的に同じ効果が得られる。

(4)資本提携
資本提携は完全な買収という形態ではなく、M&Aの前段階として通常の信用取引き関係を一歩進めた形と考えられる。実際には、大企業が下請け企業との関係を強化するために使われることが多い。