未来花コンサート
六本木にある国際文化会館で、琴とバイオリンの三重奏を楽しんだ。日本古来の13弦の琴と、音域を広げるために宮城道雄が発明した17弦の琴とバイオリンである。
演奏曲の筆頭は、もちろんのことながら「春の海」であった。昭和の初めに発表され、フランス人女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと競演されて世界的な評価を得た名曲である。
日本人のこころの底に響く琴と花のあるバイオリンの音色は美妙に混ざり合って、静謐さの中にゆったりと、しかし力強い波がうねる海の光景をこころに映し出してくれた。久しぶりに豊かな時間を持つことができた。
この日の第一部の演奏曲は、宵待草、この世の花、荒城の月、おぼろ月夜など、昭和の人間いはなつかしい曲ばかりであった。そのせいだろうか、参加者は年配の方が多く、しかも女性が9割近くを占めていた。
休憩を挟んだ第二部は、タイスの瞑想曲、雨の日の噴水、虹の彼方になど。「虹の彼方に」は、ご存知「オズの魔法使い」のテーマ曲で、アカデミー作曲賞歌曲賞受賞曲である。そして、最後はチャールダーシュCzardas」であった。ハンガリー文化の異国情緒あふれる曲で、日本文化に自由と素直さへの憧れをこめたような曲である。
旧岩崎小彌太庭園を借景に、しとやかな和服とあでやかな洋装、そして琴とバイオリンの織り成す音色に包まれたコンサートホールは、家族的な雰囲気で、こころやすらいだ。