「自分にはチャンスが来ないと思ったとき」
遥 洋子というタレントをご存知だろうか。彼女が、鋭い「成功の法則」を書いていた。「成功する人とは、その”責任”を忘れない人」であると。
日経ビジネスのNBonlineで記事を書くエッセイストでもあることを知った。昨日の”読者が選ぶ注目の記事」一位が、彼女が書いた記事、「自分にはチャンスが来ないと思ったとき」であった。
宝塚歌劇公園直後に招いたスターにインタビューしたときのことを書いている。「夢を売る」職業の人に、どこまで”本音”をきけるかという課題がインタビュアーにあるが、彼女が聞き出したスターの答えが印象的である。
そのスターは初日の舞台挨拶でこう語ったという。
「夢がたとえ叶わなくても、そこに努力する道のりこそが、夢」
夢が叶ったその日に”叶わなくても”という表現をするスターはめずらしく、その後の取材でも「自分にはチャンスが来ないかもしれないと思った時期がある」と語っていたという。
なぜそこまで頑張れたのですか?と聞いた、その答えが、
「自分が宝塚に合格したとき、不合格になって夢を断念した友達がたくさんいる。その人たちの悔しさを忘れるわけにはいかない。」
20年近い過去の出来事がいまだにモチベーションになっていることに、遥洋子は驚いたという。
たしかに、このスターが20年もの長きにわたって抱いてきた思い、夢を断念した友達の悔しさを考えて、苦しい時期を乗り越えてきた、そういえる人は何人いるだろうか?
遥洋子はエッセイの結びにこう書いている。
「そもそも、競争社会なのである。宝塚のみならず我々の社会だって。自分は目標の会社に入社できたかもしれないが、その背後には多くの断念組がいたはずだ。出世を夢見たものの、幾度の自信喪失を体験しつつ働いてきたことだろう。そしていつしか感謝も忘れ、夢を断念することの痛みにも慣れ、絶望の暗闇に目をつぶって働いてはいないだろうか。
どんな職業であれ、自分が誰かから選ばれた人間であることに間違いはない。
成功する人とは、その“責任”を忘れない人なのかもしれない。」