少子時代の多人数学級のすすめ
SNSのなかで、メンバーのTさんが「ありえない話」について貴重な意見を書いてくださった。少子時代に、「少人数学級はありえない」という指摘である。Tさんは、「・・・一人の子どもに二人の親と4人の祖父母と結婚していないおばさん・おじさんが関わることになります。子どもに関わる親が多くなり、切磋琢磨ができない、ひ弱で自己中心の子どもになってしまいます。」という。これは重要な指摘である。わたしも同感である。核家族化は昭和の団塊世代の特徴であったが、その傾向と未婚の増大が、少子時代における子供たちに与える影響という視点に気づかされた。
これは大きな変化ですね。核家族化が進む前は、結婚している大叔父、大叔母、おじさん、おばさんがいっぱいいたが、みんな自分の家族をもっていた。盆、暮れの薮入りや、年季奉公で祖父母の兄弟姉妹の家族、父母の兄弟姉妹の家族が一堂に会す・・・というのはなくなってしまいましたね。そういうときも、従兄弟や叉従兄弟たち、子供たちがあつまって遊んだものですね。
小学校、中学校も、40〜50人学級が多かった。そのなかで十数人のグループがいくつかできて互いに交流したり、別のグループに参加したり・・・と子供たちは、十人十色の友達を知り、一緒に遊び学んだ。それが、子供たち同士の刺激になり、競争もすれば、協調もする。そうして、善悪の判断も学び、人との付き合い方、社会性をを学んでいったんですね。
成人になっても、人が群れる基本単位は、40〜50人または家族だと思いますね。日本でひとつの集落、日常の生活圏というのは、私の田舎では、50家族(軒)前後が多い。寺や神社がひとつあって、それを中心に家が軒を並べている。昔の呼び方で「小字(こあざ)」といった。それが、さらに十数件の「カイト」(漢字は垣内かな?)に分かれていた。
興味深いことに、アメリカやヨーロッパの地方にいくと、ひつの集落は50軒程度のようですね。もちろん寺や神社ではなく、教会が中心にある。人間が群れるときの最適規模が50くらいということでしょうか。
これはビジネスの世界でもいえるのではないかと思いますが、基本単位は3人、30人、300人・・・といわれることが多い。軍隊の組織では、最小単位の分隊は10人くらいからで、旅団は3000人程度で編成される。これらはリーダーの統率が必須であるため、一課や一小隊は30人が適切なのであろう。
互いに刺激しあって、競争し、そして協調する。切磋琢磨する多人数学級が、子供たちには必要なことでしょう。