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人生の棚卸(7)−人脈こそ貴重な資産ー

「なによりも大切な資産は人間関係だ」といった。私の場合を、10年前から振り返ってみたい。そのころは、通常の経営実務に加えて、20年前にはじめた提携を解消したり、10年前に作った会社を清算(M&A)したり、売却したベンチャ企業をNASDAQに上場させたり、米国空軍所属研究所にいた研究者を雇用してCIAや上院議員に調べられたり、訴訟を戦ったり・・・ビジネスの裏側の世界でも苦闘した。だれもやろうとはしないことではあったが、じつにさまざまな貴重な体験をする機会に恵まれたことは幸いだった。

そういうことができたのは、最初の駐在員時代にできた人脈、仲間たちの力があったからである。かれらに大変感謝している。とくに法務、人事、税務、財務などの専門家たちの力が大きかった。それらの分野は私の専門外であり、たとえ日本で経験があったとしても実践では役立たない。

四半世紀前から海外での人の採用・評価・解雇、事業企画から製品の開発・販売、顧客サポートに従事した体験は、私個人の棚卸資産ではあったが、それぞれの分野での専門家と比べれば、赤子同然である。 

法務のTD、マーケティングのGT、人事のLC、開発のBS、そして多方面で才を発揮したKTなどすばらしい仲間に恵まれた。SRI、Dataquest、Gartner、KPMGなどの気鋭のコンサルタントたち、個人的に知り合った専門家たち、あるいは古くはライシャワーさん、ノーベル賞を受賞したポープルさんたちと知己を得たこと、そして経営や事業においてはGMやロッキード、ボーイング、IBM、Marks&Spencer、Sun、Microsoftなど顧客や同業者・事業パートナーの人たち・・・そうした海外での人間関係、仲間たちが私の大きな棚卸資産だった。感謝しても感謝しきれないものがある大切なひとたちである。

講演や研修講師をすると、私は口癖のように「人脈こそ命」といっている。「外の世界と接触」、「自ら情報を発信」、そして「対話とプロセス」の大切さを話す。自分では何もできなくても、私が感謝していることを伝え、ひとりでも人脈の大切さをより認識し、それを築き、それに助けられることを願う。

幹部社員研修や業界団体の委員会での講演、あるいは新人研修の講師などを頼まれると日程が許す限り引き受けるのは私の義務なのかもしれないと思うようになった。ひとに役立つことは自らすすんでやるという姿勢とその実行が社会貢献になることを期待しているのかもしれない。お金のためではなく役立つために生きるということがこれからの生きる姿勢ではないかと・・・。

※この記事も一ヶ月前に書いたものであるが、見直しせずにそのままアップした。一気に書いたそのままのほうが、小細工なしに思いが表れていいいのではないかと思うようになった。