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日本人は歴史を知らない?

「そんなことがあったんだ。日本人ってすごいなぁ……」と感心するようなことをこの年になって知ったというのが多い。単にわたしの勉強不足に過ぎないのかもしれないが。ただ、「日本人は歴史を知らない」といったのは、アメリカのビジネスマンたちである。ひとりではなく何人もの人からそんな話を聞いた。もちろん、あるときから私自身も意識してその話を持ち出して聞くようにした。最初の頃はショックであった。自分のことを指摘されているのかとも思った。海外生活をすると自己嫌悪に陥るようなことにも気づく。そのひとつが、「日本人でありながら、日本のこと日本人のこと、歴史・文化・風土にいろんな行事、仏教・神道・禅、歌舞伎に能楽、浄瑠璃、茶道や華道などなど……。英語以前に日本語で説明することさえままならないことに気づくでしょう。説明をもとめられているというより、あいては素朴に質問しているだけなのに、どういっていいのか分からず口をパクパク……と恥ずかしい思いをいやというほどしたものである。これほど自己嫌悪に陥ることはなかった。若いセクレタリーに”I hate myself”と変な英語で説明しようとすると、"You have mental problem"といったかどうか忘れたが、とにかく「自分を憎むということは精神的におかしいことだわ」といいたかったんだろうと解釈して、ますます自己嫌悪に陥った思い出がある。いまは、「思い出」となって懐かしくはあるが。

話が逸れてきたが、「日本人は歴史を知らない」というアメリカやイギリス、ドイツのビジネスマンたちがなぜそういうのか気になって調べたことがある。そのことは別の機会に書くことにするが、ここではその指摘が正しいと思う事実のひとつとして冒頭で書いた「サッカー奇跡の逆転」があることを言いたい。ずいぶん回り道をして我ながらあきれるが、日記なんですから許されるでしょう、と自分に甘くなる。それで、結論を急ぐと、戦後GHQが敷いた日本の政治・経済・社会・教育などの路線は、戦前までの日本人の精神性、一言で言うのは難しいが、敢えて言うなら「武士道精神」を根絶やしにしようとしたものではなかったか……というのがわたしの論点である。簡単に言えば、戦勝国の人たちは日本人の強靭な精神性、美意識に根ざした死をも恐れぬ勇敢さ、ゼロ戦や戦艦大和を作り出した創造力と抜き出た技術力、ロシア艦隊を打ち破った戦略性、満州で展開した機動力、アメリカ移民・ブラジル移民の開拓者魂など数え上げたらきりがないほどの日本民族の卓越性を恐れ、そうした民族の力が復活するのを妨げたかったとしか思えない。そのためには戦前の価値観を否定し、日本人の記憶から抹消したかったのではないだろうか。だからこそ、日本人が世界に示した恐るべき力を思い出させないようにしようとしたのではないか。そして、その時代の記憶がある戦前・戦中派の世代の人たちもまた、そうした記憶を忘却のかなたへ押しやろうとしたのではないか。「戦争に負け、日本を廃墟にしたのはわれわれの責任だ。これまでの価値観は捨て去り、日本の未来を戦争を知らない世代に任せよう。われわれは口出しをしない。ただ貝になるだけだ。みなさん、「わたしは貝になりたい」という映画をしっていますか?わたしも戦争を知らない世代で、小さい頃おじさんが支配人をしていた映画館でその映画を見た記憶がある。しかし、その意味することは皆目検討がつかなかった。戦争を知る大人たちは何も説明しようとしなかった。ただ哀しそうに黙っているだけであった。わたしが理解できるようになったのも、この10年くらいになってからである。知らない事実、歴史とその時代背景を知るようになってからである。もっともわたしは過去20年間、海外の仕事が中心で日本のことに疎いからかもしれない。どれだけの認識のズレがわたしにあるのか、それを確かめようとしているのかもしれない。

思いもかけず長い日記になってしまった。いい足りないことが一杯あるが今日はこの辺でやめることにする。最初は、NHKの「その時歴史は」が気に入ったので、それをちょっと紹介しようと思って書き出したのです。番組の紹介をなぞって書いた文がすでにあります。それをつぎに掲載します。

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