高貧困率国家
日本が計画経済から市場経済に、弱肉強食の競争社会に着実に移行していく大きな流れは止まることがないであろう。日本で起きていることが、1980年代のアメリカで起きた。アメリカでは過去20年で貧富の差が大きくなった。日本も同じ道をたどるだろう…ということを今年の2月に書いた。
最近知ったのだが、今年2月にOECDが加盟国の貧困状況について比較調査した報告書がある。その中に「貧困率」という指標がある。これは国民の平均所得の半分しか所得のない人を「貧困者」として、国民全体の何%になるかを示すものである。これによると日本は加盟国中5番目の貧困国(先進国の中ではアメリカ、アイルランドに次ぐ3番目)である。
1.メキシコ 20.3%
2.アメリカ 17.1%
3.トルコ 15.9%
4.アイルランド15.4%
5.日本 15.3%
貧困率が高いのは、貧しいということではなく所得格差すなわち貧富の差が大きいことをあらわしている。大企業やIT・金融関係で大金持ちがいる一方で年収が200万円程度の人も6〜7人にひとりは必ずいるということである。
日本の貧困率15.3%は、10年前の2倍近い数字である。日本でもすでに貧富の差が拡大しているのである。「一億総中流」という言葉が死語になる日が近づいている。