Enterprise2.0採用と実践のルール
The Dawn of Emergent Collaboration
ビジネス・コミュニケーションのツールとして、これまでの知識ベースのコラボレーションのあり方を大きく変える可能性をもったSLATESツール―それらの導入と実践により知的生産性の向上と高度なコラボレーションをもたらすと期待されている。一般のインターネットでは、すでに誰でも利用できるようになっている。しかし、企業内での活用は今後の課題である。とくに日本ではそれらのツールへとその効用の理解が遅れていると考える。世の中の進取の気性に富んだ人たちはどんどん取り入れていくだろう。しかし、日本の保守的な経営者たちはそうした新しい潮流に気づいているのだろうか?気づかない限り企業での採用と実践は遅れることになる。
SLATESについてはMIT Sloan Management Review最新号(Spring 2006)に掲載されたHBSのAndrew P. McAfee助教授の論文"Enterprise 2.0: The Dawn of Emergent Collaboration"で、その顕著な特徴を述べている。
この論文では、事例研究とサーベイの結果から、新しいWeb2.0テクノロジーを採用し活用するための基本ルールを導き出している。
(1)有効に活用するための準備として、まず新技術を受け入れる企業風土を創る必要がある。
(2)コラボレーションの基盤となる共通のプラットフォームをつくらなければならない。
(3)全面採用をしてプロセスを変える前に非公式な形で試行するほうが良いかもしれない。
(4)経営幹部のサポートとリーダーシップが必要不可欠である。
新技術の採用と実践がうまくいったとして、それは新たな挑戦をもたらすものである。マネジメントの統制や安全志向を難しくするかもしれない。経営者がこの導入を望むか、異義を唱えるかは、議論が分かれるところである。
いずれにしてもEnterprise2.0を導入しようとするリーダーは実にデリケートな役割を演じなければならないことは確かである。